ノーコード時代にWEB制作スキルは無駄?
「ノーコードツールが主流になっている今、わざわざHTML・CSSなどのWEB制作スキルを学ぶ必要があるのだろうか?」
こんな疑問を持っている方は少なくないでしょう。Wix、Shopify、WordPressなど、コードを書かなくてもウェブサイトが作れるツールが増え、「コーディングは時代遅れになるのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。
この記事では、プログラミング初心者の視点から、ノーコード時代におけるWEB制作スキルの価値について考えていきます。
結論から言うと:ノーコードツールが発展した現在でも、WEB制作の基礎知識は非常に価値があります。ただし、あなたの目標によって学ぶべき深さは変わってきます。
1. ノーコードツールとは何か?
まず、「ノーコード」について簡単に説明しましょう。
ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作でウェブサイトやアプリを作成できるプラットフォームです。代表的なものとして:
- Wix、Squarespace - 個人サイトやポートフォリオ向け
- Shopify、BASE - ECサイト構築向け
- WordPress - ブログやコーポレートサイト向け
これらのツールのおかげで、技術的な知識がなくても見栄えの良いウェブサイトを比較的短時間で作れるようになりました。
2. それでもWEB制作スキルが必要な理由
ノーコードツールが便利になった今でも、WEB制作の基礎知識は依然として価値があります。その理由をいくつか見ていきましょう。
➀ カスタマイズ性と自由度
ノーコードツールは便利ですが、決められたテンプレートや機能の範囲内でしか動きません。一方、HTML、CSS、JavaScriptの基本を知っていれば:
- テンプレートにはない独自のデザインを実現できる
- 細かな動作や表示を自分の思い通りに調整できる
- ノーコードツールのカスタマイズ機能でコードを編集・追加できる
多くのノーコードツールはHTMLやCSSを部分的に追加できる機能を備えています。この「ローコード」領域を活用するだけでも、サイトの差別化ができるのです。
➁ 問題解決能力
ウェブサイトの運営中に問題が発生したとき、基本的な仕組みを理解していると大きなアドバンテージになります:
- レイアウトが崩れた原因を特定できる
- 表示速度が遅い理由を理解し改善できる
- 外部サービスとの連携でエラーが出たときに対処できる
「なぜそうなるのか」という根本的な理解があれば、単なるツールの操作者から、真の問題解決者になれます。
➂ 多様な就職・仕事の可能性
WEB業界のキャリアを考えるなら、基礎的なコーディングスキルはまだまだ重要です:
- フリーランスとして案件を受けやすくなる(ノーコード案件+コーディング案件)
- WEB制作会社への就職でアドバンテージになる
- マーケティング職でも技術理解があると評価される
実際、多くの求人では「HTMLとCSSの基本的な知識」が必須または歓迎スキルとして挙げられています。
➃ サイトのパフォーマンスと最適化
ノーコードツールで作ると、不要なコードが多く含まれることがあり、表示速度が遅くなりがちです。基本を理解していれば:
- サイトの読み込み速度を最適化できる
- SEO(検索エンジン最適化)に有利な構造を作れる
- アクセシビリティ(障がいを持つ方への対応)を改善できる
3. どこまで学べばいいのか?レベル別学習指針
WEB制作スキルは学び始めると奥が深いですが、目的に応じて学ぶ範囲を考えるといいでしょう。
➀ 趣味・個人サイト運営レベル
自分のブログや小規模なサイトを運営したい場合:
- HTML:基本的なタグ構造、セマンティックHTML
- CSS:基本的なスタイリング、レスポンシブデザインの基礎
- WordPressなどのCMSの基本操作
この程度の知識があれば、ノーコードツールをより効果的に使いこなせるようになります。
➁ フリーランス・副業レベル
WEBサイト制作の仕事を受けたい場合:
- HTML/CSS:実践的なレイアウト技術、アニメーション
- JavaScript:基本的な動的機能の実装
- レスポンシブデザイン:様々な画面サイズへの対応
- WordPressのテーマカスタマイズ
➂ プロフェッショナルレベル
WEB開発を本格的な職業にしたい場合:
- 上記に加えて:
- JavaScriptフレームワーク(React, Vue.jsなど)
- バックエンド言語(PHP, Node.jsなど)
- データベースの基礎知識
- UI/UXデザインの原則
4. 初心者におすすめの学習ステップ
全くの初心者が効率よく学ぶためのステップを紹介します:
- 基礎理解:HTMLとCSSの基本を学ぶ(1〜2ヶ月)
- 小さなプロジェクト:自己紹介ページなど単純なサイトを作る
- レスポンシブデザイン:スマホ対応の方法を学ぶ
- JavaScript入門:簡単な動的要素を追加する方法を学ぶ
- WordPressなどのCMS:基本操作とカスタマイズを学ぶ
初心者におすすめの無料学習リソース
- ドットインストール:短く分かりやすい動画レッスン
- Progate:ブラウザ上で学べるインタラクティブな学習サイト
- MDN Web Docs:詳しいリファレンスと学習ガイド(日本語あり)
- Codecademy:英語ですが、実践的なレッスンが豊富
5. ノーコードとコーディングの「いいとこどり」戦略
最も効率的なのは、両方の良さを取り入れる方法です:
- ノーコードツールで素早く全体構造を作る
- HTML/CSSの知識を活かして細部をカスタマイズする
- 必要に応じてJavaScriptを追加して機能を拡張する
例えば、WordPressでサイトを作り、必要な部分だけカスタムコードを入れるという方法が、時間効率とクオリティのバランスが良いでしょう。
まとめ:WEB制作スキル習得は無駄ではない
ノーコードツールが発展した現在でも、WEB制作の基礎知識を身につけることは決して無駄ではありません。むしろ、その基礎知識があるからこそ、ノーコードツールをより効果的に使いこなせるようになります。
特に重要なのは、自分の目標に合わせて学習範囲を決めること。単純なブログを始めたいだけなら深い知識は必要ありませんが、WEB関連の仕事を考えているなら基礎はしっかり押さえておくべきでしょう。
テクノロジーは常に変化しますが、根本的な原理を理解していれば、新しいツールにも柔軟に対応できます。「魚を与えるよりも魚の釣り方を教える」というように、基本を学ぶことは長期的に見て大きな財産になるでしょう。